2012年05月

2012年05月21日

平成24年労働者派遣法改正への対応と課題〜労働契約申し込みみなし制度の拘束力は?

みなさん。こんにちは。

久々に更新します。前回に予告していましたように今回から数回にわたり労働契約申し込みみなし制度(規定)について書いていきます。

表題にあるように『労働契約申し込みみなし制度の拘束力』について書いていきます。

ネット上で、この労働契約申し込みみなし制度については注目を浴びていますが、私的な見解を申し上げればその拘束力はかなり限定的だと思います。

分かり易く申しあげると、実際的にこの労働契約申し込みみなし制度や規定が適用されるケースはかなり限定的になるのではないかいと思います。



理由 1 期間を定めないで雇用される労働者に係る派遣先の労働契約申込義務
 
派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けることができる期間に制限のない業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣労働者を受け入れている場合の、当該派遣労働者に対し、労働契約の申込みをしなければならないこととする規定について、当該派遣労働者について期間を定めないで雇用する労働者である旨の通知を受けている場合は、これを適用しないこととしたこと


つまり、派遣当初から期間の定めのない雇用契約にもとづく労働者派遣(特定派遣的)なものについては当初から労働契約申し込みみなしの適用除外です。


理由 2 労働契約申込みみなし制度のそのものに分かりづらさがある
 
イ 労働者派遣の役務の提供を受ける者(国(特定独立行政法人を含む。(1)及び(2)において同じ。)及び地方公共団体(特定地方独立行政法人を含む。(1)及び(2)において同じ。)の機関を除く。(1)において同じ。)が次のいずれかに該当する行為を行った場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなすこととしたこと。ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行った行為が次のいずれかの行為に該当することを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかったときは、この限りでないこととしたこと。(第40条の6第1項関係)

つまり、違法派遣や偽装請負であることを知らないで、かつ知らなかったことに過失がないときはこの制度は適用されません。

分かり易く申し上げれば、派遣元事業主が労働者派遣法の適切な手続とないで、たまたま違法派遣の状態にいたった場合はこの制度は適用されません。

理由 3 違法派遣や偽装請負の定義の明確化が必要

(イ) 第4条第3項の規定に違反して派遣労働者を同条第1項各号のいずれかに該当する業務に従事させること。
【禁止業務への派遣受入】
 
(ロ) 第24条の2の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。

【無許可・無届の派遣元から派遣受入】
 
(ハ) 第40条の2第1項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。

【抵触日超の派遣の受け入れ】
 
(ニ) この法律又は第4節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること。
【所謂「偽装請負」の場合】


以上4つのケースに労働契約申し込みみなし制度が適用されるとされています。しかし、初めの2つ「禁止業務の派遣」 や「無許可・無届からの派遣受入」は比較的分かり易いのですが、「抵触日超の派遣受け入れ」については、専門26業務の解釈等に大きく左右されます。現在の26業務の在り方のままでは非常に分かりづらいです。
さらに、所謂「偽装請負」については、そもそも法律の用語としての偽装請負は存在しませんし、仮に偽装請負とするならば労働省告示37号と現在の請負化の指導の在り方のギャップを埋める必要があります。
いくらなんでも、行政の一方的な解釈による偽装請負の認定?という現実的ではないとおもいます。

これらのことにより、現状では、労働契約申し込み制度が適用されるケースは限定的であると考えます。


それでは・・・また(^v^)

次回も労働契約申し込み制度について詳しく解説していきます。




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2012年05月11日

平成24年労働者派遣法改正への対応と課題〜ホームページ更新しました。

みなさん。こんにちは。

しばらくぶりの更新です。

さて、当事務所のホームページを大幅に更新しました。年金や助成金について最新のものにしました。


また、労働者派遣法改正についても最新情報をアップしています。

  http://www.yamamoto-sr-office.com/work2_7.html
 
 


平成24年労働者派遣法改正については、人材ビジネス総合サイトに「労働者派遣事業から職業紹介への兼業化・円滑な移行」についての資料をアップしていることが大事なニュースです。


さらに、労働政策審議会で公開で専門26業務の追加(下水道、一般廃棄物処理、非破壊検査等)検討されたことは、非常に重要です。


詳しくは、ホームページを参考にしてね。それではまた(^v^)


追伸:この週末くらいから平成24年労働者派遣法改正への対応と課題とくに、「労働契約申し込みみなし制度」について書いていきます。








2012年05月05日

労働者派遣事業のポイント〜労働契約法改正案の概要

みなさん。こんにちは。

ゴールデンウィークをいかがお過ごしでしょうか?

ここのところ、平成24年労働者派遣法改正案について書いてきましたが、今回は少し趣旨を変えて労働契約法改正案について書きます。

現在、この労働契約法改正案は、今国会で審議されています。

この労働契約法は、派遣事業だけでなくすべての働く労働者に適用されます。

今回の改正点は大きくいって以下の3つです。


 1 有期労働契約の利用期間の上限設定(無期労働契約への転換)

 有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合(※)は、労働者の申出により、無期労働契約に転換させる仕組みを導入する。
(※) 原則として、6か月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しない。

 
2 「雇止め法理」の法定化
雇止め法理(判例法理)(※)を制定法化する。
(※) 有期労働契約の反復更新等により、無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、または期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合には、解雇権濫用法理を類推して、雇止めを制限する法理。
 
3 期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消(不利益取扱いの禁止)
・ 有期労働契約における労働条件は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、期間の定めを理由とする不合理なものと認められるものであってはならないこととする。



特に、1、有期雇用の利用上限(5年)が施行されると、専門26業務で例えば1年毎の更新派遣されていた方が5年以上働らき、派遣労働者が申し出れば派遣元と期間の定めのない労働契約を結ぶことになります。

労働者にとってはいいことかもしれませんが、その場合は専門26業務を定めている意味がなくなる可能性があります。

ここのところは本当に専門26業務の在り方そのものが問われてきます。


人材ビジネス業界で働かれている方には、少し理屈っぽくて難しいかもしれませんが、現在国会でこのような法律の改正案が審議されていることはしっかり覚えておいてくださいね。


それでは・・また(^v^)☆



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2012年05月01日

平成24年改正労働者派遣法への対応と課題〜専門26業務の追加【一般廃棄物処理、下水道、非破壊検査】


こんにちは。

先日、4月25日に労働政策審議会173回職業安定分科労働力需給制度部会が開かれました。

今回の議題1は「労働者派遣におけるせんもんてきな知識を必要とする業務について」で公開されました。

これは、平成24年労働者派遣法成立の際の附帯決議に基づくもので、26業務についての見直しを示唆しています。
当日参加することが難しかったので、資料から推測すると新たに26業務の追加が検討されます。「一般廃棄物処理施設において必要な整備の運転、点検又は整備の業務」「下水道において必要な設備の運転、点検又は整備の業務」「水道施設において必要な設備の運転、点検又は整備の業務」「非破壊検査に必要な設備の運転、点検又は整備の業務」です。

資料には、労働者派遣のスキーム及び各業務の概要・専門性・緊急性等がしめされています。
さらに、粗い推計として労働者数や派遣労働者数も示されています。 

注意しなければならないのこの政令の施行は公布と同時に施行となっていますので、平成24年改正労働者派遣法改正より早くなるかも知れません。くれぐれもご注意くださいね。
それでは・・また




【附帯決議】
  労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議   

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。 

 

登録型派遣の在り方、製造業務派遣の在り方及び特定労働者派遣事業の在り方については、本法施行後一年経過後をめどに、東日本大震災による雇用状況、デフレ・円高等の産業に与える影響及び派遣労働者の就労機会の確保等も勘案して論点を整理し、労働政策審議会での議論を開始すること。

 

いわゆる専門二十六業務に該当するかどうかによって派遣期間の取扱いが大きく変わる現行制度について、派遣労働者や派遣元・派遣先企業に分かりやすい制度となるよう、速やかに見直しの検討を開始すること。検討の結論が出るまでの間、期間制限違反の指導監督については、労働契約申込みみなし制度が創設されること等も踏まえ、丁寧・適切に、必要な限度においてのみ実施するよう改めること。 
労働契約申込みみなし規定の適用に当たっては、事業者及び労働者に対し、期間制限違反に該当するかどうか等の助言を丁寧に行うこと。


当日参加することが難しかったので、資料から推測すると新たに26業務の追加が検討されます。「一般廃棄物処理施設において必要な整備の運転、点検又は整備の業務」「下水道において必要な設備の運転、点検又は整備の業務」「水道施設において必要な設備の運転、点検又は整備の業務」「非破壊検査に必要な設備の運転、点検又は整備の業務」です。

資料には、労働者派遣のスキーム及び各業務の概要・専門性・緊急性等がしめされています。
さらに、粗い推計として労働者数や派遣労働者数も示されています。