判例紹介

2010年06月26日

派遣女性へセクハラ派遣先に使用者責任を認定

みなさん。こんにちは。
今回は、前回に引きづづき判例紹介いたします。

これは今年6月15日に判決に至った事件です。


派遣女性にセクハラ 「味覚糖」へ賠償命令

 和洋菓子製造販売会社「味覚糖」(本社・大阪市中央区)の奈良工場(奈良県大和郡山市)で派遣従業員として働いていた女性が、当時の上司の男性からセクハラ(性的嫌がらせ)を受け、抑鬱(よくうつ)神経症を発症したとして、味覚糖と派遣会社に対し、計約700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、奈良地裁であった。一谷好文裁判長は味覚糖の使用者責任を認め、77万円の支払いを命じた。

 一谷裁判長は判決理由で「女性は元上司にやめるように注意するなど性的な不快感があったとみられる」としてセクハラを認定。一方で、「セクハラ行為を受けていた間も精神的不調を訴えなかった」として抑鬱神経症発症との因果関係は認めなかった。派遣会社については労働契約上の義務違反はないとした。

 判決によると、女性は平成19年9月ごろから、元上司から携帯電話の番号を教えるよう何度も言われたり、体を触られるなどした。女性は20年6月以降、休職し、同年7月に労災が認められた。元上司は同年12月に自殺した。


(産経新聞)



今回のこの判決で注目すべきは、派遣会社には労働契約上の義務違反はないとしたに関わらず、派遣先にはセクハラ賠償を認めた点です。

また、当時の上司が自殺したこと等悲劇的結末です。
派遣会社等のコーディネ―タ―にとっては、この事件は重くうけとめください。なぜなら、派遣先企業の担当者・関係者の啓蒙をすることが、悲劇的な結末を事前に防ぐことになるからです。

最後に、近年ますますパワハラ・セクハラに対しては厳しい対応が求められています。

くれぐれも肝にめいじてくださいね。

すこし、きびしい話になりましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。

それでは・・今日はここまで(^v^)♪

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2010年06月25日

TOTOに労災賠償命令 「偽装請負」認定 請負会社社員労災死亡事件

みなさん。こんにちは。

先日、TOTO滋賀工場で請負会社に所属していた従業員の労災死亡事故に関して、大津地裁が業務委託(請負)を装いながら実際は派遣という「偽装請負」を認定して派遣先に労災の賠償を命じる判決をだしました。

1億円の賠償金をTOTOに求めていましたが、判決では6140万円の賠償を命じました。

この判決の特徴は、偽装請負を裁判所が認定し、その結果、派遣先(発注者)企業の安全管理責任を認めて、賠償金の支払いを命じたことです。

請負の場合は、安全管理責任は、原則して請負会社にあります。

しかし、今回裁判所は明確に「偽装請負」と認定しました。
そのポイントはTOTOが直接指揮命令したと認めたことにあります。

現在、請負化を推進している派遣会社も多くありますが、くれぐれも適正な請負を心掛けてください。

発注者からの指揮命令はNGです。

また、請負化に対しても、発注者企業に対しても不適切な請負化は労災等が発生した場合の安全管理責任が生じるリスクがあることを理解してもらうようにすることが不可欠です。

ユーザー企業の啓蒙が大事です。

今回のTOTOの事件も請負と労災との関係について一石を投じるものです。これまで「ニコン熊谷事件」「大和製罐(テクノアシスト相模)事件」が請負労災死亡事故のついて注目されてきました。

これらの事件のいきさつや裁判所の判決を見て理解を深めてみるといいのかなと感じます。

それでは・・・今日はここまで(^v^)♪


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2010年06月07日

「日研化学事件」〜パワーハラスメントは労働災害になりえます。(安全配慮義務)

みなさん。こんにちは。

今回は、久々に判例紹介をします。

今回は「パワーハラスメント」関連の判例を紹介します。

「日研化学事件」(東京地裁 平成19年10月15日)

製薬会社「日研化学」(現・興和創薬、東京都中央区)の静岡営業所に勤務していた男性=当時(35)=が自殺したのは、上司の暴言など「パワーハラスメント」(パワハラ)が原因だとして、男性の妻が労災を認めなかった静岡労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟しました。
その判決において裁判長は上司の暴言が自殺の原因になったことを認め、国に処分の取り消しを命じた。

 パワハラを自殺の原因として労災を認定した全国初のケースです。

 裁判長は、上司のパワハラを「男性の人格、キャリアを否定する内容で過度に厳しい」と指摘。その上で「男性の心理的負荷は、通常の上司とのトラブルから想定されるものよりも重い」と判断し、「男性は仕事のために鬱(うつ)病になり自殺した」と結論付けています。

 判決によると、男性は平成9年から、静岡営業所で薬剤の営業を担当。営業成績が良くなかったことから、14年に同営業所に赴任した50代の係長に「存在が目障り」「給料泥棒」「背中一面にフケがベターっと付いてる。病気と違うか」などとパワハラを受けた。

 男性は14年12月ごろから鬱病の症状を見せ始め、15年3月に自殺した。男性の妻は16年、同労基署に労災を申請したが認められなかった。


この判決により、パワーハラスメントが労災になることがあるということが分かります。

私が今回この判例をを紹介したのは、実際に部下を持つ立場の方々に、パワハラは時として労働災害として認定されることがあり、とくに日研化学事件のように結果として自殺に至った場合には、訴訟に至るケースが少なくないことを理解してほしいのです。


現在の不況下においては、企業は生き残りをかけて業績アップを従業員に求めてきます。

そのため、上司は部下に厳しく指導します。

しかし、この日研化学事件を他山の石とするならば、部下の様子がおかしいというときには少し視点を変えてみる必要が上司にあると思います。

上司が自分では対応できないと感じるときには、「産業医」「産業保健スタッフ」を活用してください。

厳しい指導そのものは、否定されるものではありせん。
それでも、過度の叱責は部下の人生そのものを破壊する可能性があるのです。

部下をあずかるものとしては、非常に悩ましい問題であることは、私自身も十分理解しています。

それでも、これを機会にすこし部下への指導の際にこの事件の事を思いだしていただければ何か変わるキッカケになるのでないかと私は信じています。

長くなりましたが、最後まで読んでいただき感謝しています♪

それでは・・・今日はここまで(*^_^*)

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2010年01月31日

外国人研修生訴訟、受け入れ機関に責任〜外国人研修制度・外国人労働を考える

 外国人研修・技能実習制度で来日し、劣悪な条件で働かされたとして、中国人女性4人(22〜25歳)が、熊本県天草市の縫製会社2社(共に廃業)と受け入れ機関などを相手取り、未払い賃金や慰謝料など計約3580万円の支払いを求めた訴訟の判決が29日、熊本地裁であった。高橋亮介裁判長は、2社と受け入れ機関に計約1730万円の支払いを命じた。原告弁護団によると、同様の訴訟で受け入れ機関の責任を認めたのは全国初という(2010年1月30日 読売新聞)

みなさん。こんにちわ。
冒頭に新聞からの記事を紹介しました。
上記の判決は、熊本地裁から出されたものです。
同じ九州の熊本での判決であり、ここ大分県でも外国人研修生を受け入れていることを知っていたので気になりましたのでこのブログで紹介することにします。

上記の外国人研修生は、1日13時間働き休日も月1h程度で最低賃金以下だったと訴えて、未払い賃金約1290万そして慰謝料として440万の支払いを命じました。


また、経営者4人が預金通帳や印鑑を管理していたことが労働基準法で禁止されて「強制貯金」にあたるとし、また旅券などを預かったことが「違法な労働助長する」としました。

さらに、受け入れ機関については「違法な就労や行われて否か適正に監査すべきだった」としています。

しかし、一方で制度を支援する財団法人国際研修協力機構に対する訴えは棄却しました。

私の個人的な感想は、外国人研修制度もうまく利用すれば、企業及び研修生にとっても有益な制度とは思います。また、単純労働の外国人を受け入れない施策になっている現状ではこの制度の活用するしか手段がないとも言えます。

一方、急速な少子高齢化が進むなか日本の人口減少は必至です。
ここ大分県では、すでに人口減少の局面を迎えています。

民主党政権になって外国人の地方参政権の問題が焦点になっていますが、この外国人研修制度についても制度の在り方を考える時期に差し掛かっているように感じます。

人口減少中で、労働力を確保する場合、高齢者、女性、若年者の就業率のアップだけでは、将来迎えるであろうろう労働力不足の時代に対応することができません。

外国人研修及び労働の問題については、将来を見据えて施策として考える必要があります。

それでは・・・今日はこれまで(*^_^*)






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2009年12月07日

ニコン事件 東京高裁 判決

この事件は、1999年、大手光学メーカーで業務請負を会社行っていた業務請負会社の社員がうつ病により過労自殺を図ったという不幸な事件です。

※当時は、製造派遣は認められておらず、業務請負の形態が主流でした。

一審の東京地裁では、損額額を減額して両社に対して2400万の損害賠償額を認めました。

その後、企業側は控訴し、今年の7月に東京高裁の判決になります。

その内容は
「損害金額を減額すべき事情は認められない」
「違法派遣のもとストレスのかかる作業室で深夜労働や時間外労働等過重に働かせたこと尚がうつ病発症と自殺につながった」と認定


その結果
両社に対して7000万円(遅延損害金合わせて1億以上)の支払いを命じました。


むつしい法律の解釈は置いといても、現在は、裁判所は派遣・請負といった就業形態に対して、厳し見方をしている(世間の批判の結果もあるのでしょうが・・・)

安全衛生、特に人命にかかわる事案に対しては、請負・派遣といった形態にとらわれることなく、実質的に使用者責任(安全配慮義務違反)を認めるということです。


この判決は、とても重要な意味を持っています。
人材ビジネスに従事する方にとっては、必ず覚えていただきたい判例ですl。

そして、派遣であれば派遣先企業の担当者へ、請負であれば発注者企業の担当者へこの判例を紹介していただき適切な派遣・請負行うよう促していただきたいと思います。

それでは、今日はこれまで・・・




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